こんにちは。Mr.さわぐるみです。
今回は、「第3回 『森林の回廊』公開フォーラム」で言及されたその他の内容を、
簡単にご紹介したいと思います。
19.「森林の回廊」フォーラムに参加して(3)
藤森隆郎先生(日本林業技術協会)の講演
「環境・生態系保全と経済林業を巡って」(3)
パネルディスカッション 「環境・生態系保全と経済林業の融和」
コーディネーター:杉山要氏
パネリスト :藤森隆郎氏、陸斉氏、水野雅夫氏、玉谷宏夫氏、井上巌氏
講演
1、 |
生物多様性が高い日本の森は、単純な樹種の大量生産方式の木材生産には不向き。
・高温多湿で樹木の成長は早いが、スギ・ヒノキ以外の樹種も早く伸び、競争が激しくなってしまう。
(アメリカやシベリアでは下刈コストが殆どかからないそうで、コスト競争で不利になってしまう)
・熱帯材の再造林コストは、日本よりもさらに高いのでは?
(今のところは労賃が安いのと、天然林を伐っているから儲かっているだけ)
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2、 |
環境に配慮した木材の利用
・木材は最終的には燃やしてエネルギー源にでき、再利用し易い優れた物質。
・木材はできるだけ無垢材(合板や集成材に加工せず、木を切ったそのままの材)での利用が望ましい。
(集成材は加工にエネルギーを消費し、接着剤等の化学物質が混入しているので再利用及び廃棄時に問題が生じる)
・ただし、集成材には木材利用の可能性が大きく広まる一面もある。
(会場の林業総合センターにも集成材が使われていた)
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3、 |
森林管理への社会支援や、社会システム変換の必要性
・加工技術で補うだけでは解決できない事もあり、「人間の都合にあわせて自然を変える」生き方から、「自然にあわせて人の営みを変える」への転換。
(柱は全て真直ぐでないといけないのか?曲がったままの良さを活かす道はないのか?)
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パネルディスカッション
1、 |
無駄を無くした、効率的な森林管理が求められる。
・日本には生態的な視点を組み込んだ林業政策が殆どない。
(補助金のシステムが生態系を無視した施業を強いているとも言える)
・拡大造林は本来、成林に不向きな場所(土壌が流れる、水が溜まるなど)に造林する事が目的だった。それが戦後復興時にゆがめられてしまった。
・スギ・ヒノキ・カラマツは、本来は他の広葉樹と一緒に混生して生える樹種。広大な純林を作るのがそもそも不自然であり、生産林として見込みのない場所は混交林化していく(適地適木)。
(「せっかく今まで育てたから」という気持ちを抑え、成林しても経済的に合わない所はきちんと区分する)
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2、 |
野生生物(大型哺乳類)について
・「増えすぎ」として問題になっている動物も、人里近くでのみ増えていて、被害が目に付くだけで一概に増えているとは言えない(農作物やゴミなど、餌が多いと人里近くで増えてしまう)。
・クマ被害の多い地域では、人家と奥山の間に生活林をバッファーゾーン(緩衝地帯)として配置するとよい。
・野生生物にはまだ科学的に分からないことが多く、なぜ絶滅してはいけないのか?も分かっていない(脱線1)。しかしだからといって殺して良いのか?分からないからこそ守るべき。
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3、 |
環境問題は、結局は人の問題。
・社会システム、経済、いろんな立場の人々の思いなどを、議論、合意、教育できる場がもっと必要。
・全体の視点を忘れないようにしつつも、各自それぞれの立場で考えることが大事。
・ボランティアによる森林整備には限界があり、林業が生活に結びつくような社会を作らないといけない。
(木を使うのか使わないのか、使うならどんな木を使うのかまで議論が必要)
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3回にわたって紹介させていただきましたが、学ぶところの多いフォーラムでした。しかしこれだけでは机上の論理。森林管理の実践については次回のフォーラムが、2月6〜8日に行われますので、楽しみにしたいと思います。
脱線
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